【魔神転生シリーズ】女神転生シリーズの派生作品となるシミュレーションRPGの魅力を解説

ゲームシリーズ
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魔神転生は、アトラスから発売されたシミュレーションRPG(SRPG)のシリーズで、『女神転生』シリーズの一翼を担っています。このゲームはターン制で進行し、プレイヤーターンとエネミーターンが交互にやり取りされます。勝利条件は、味方が倒されずに敵を撃破するか、ボスを倒してステージをクリアすることです。このページではそんな「魔神転生」シリーズの魅力について紹介します。

シリーズの概要

シリーズの概要
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『魔神転生』シリーズは、アトラスが手がける人気RPG『女神転生』の世界観を継承しつつ、戦略性の高いシミュレーションRPGとして独自の進化を遂げた作品群です。現代社会に突如現れる悪魔や天使との戦いを描き、プレイヤーは「悪魔召喚プログラム」を使って仲魔を集め、戦局を切り開いていきます。仲魔との会話や悪魔合体、属性による戦略性などが特徴で、ストーリーはマルチエンディングを採用し、選択によって世界の運命が変わる構造となっています。ダークな世界観と緻密なゲームシステム、プレイヤーの選択が反映される重厚な物語が融合し、他のRPGにはない魅力を放つ名シリーズです。

シリーズの魅力

悪魔と共に戦う独特の「仲魔」システム

悪魔と共に戦う独特の「仲魔」システム
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『魔神転生』シリーズの最大の特徴としてまず挙げるべきは、プレイヤーが悪魔たちを「仲魔(なかま)」としてスカウトし、戦闘で共に戦わせるというシステムの存在です。この仕組みは、単なる召喚キャラとしての悪魔ではなく、あたかも感情や意志を持つ存在としてゲーム世界に実在させる工夫となっており、プレイヤーとの一種のコミュニケーションが求められます。たとえば、戦闘中に悪魔と会話を行い、気分を読みながら説得したり、アイテムを渡したりすることで仲魔にできるかどうかが決まる仕様になっており、これが他のSRPGには見られない深い駆け引きを生み出しています。加えて、月齢による確率変動や、同じ種族の悪魔を複数同時に保有できる柔軟性があり、悪魔の成長や合体によって自分だけのオリジナルパーティを構築できる自由度の高さが際立ちます。このように「仲魔」システムは単なる戦力管理ではなく、世界観への没入を大いに助けてくれる要素であり、プレイヤーに強い愛着を生ませる要因ともなっています。

絶妙に構築されたダークで緻密な世界観

絶妙に構築されたダークで緻密な世界観
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『魔神転生』のもう一つの大きな魅力は、徹底的に作り込まれた世界観の濃密さにあります。舞台は近未来や現代日本の都市であることが多く、そこに突如として悪魔が出現し、都市の秩序が崩壊していくというシチュエーションがプレイヤーに強烈な没入感を与えます。ただ荒廃した都市を歩くだけではなく、その背景には戦争、科学技術の暴走、国家による陰謀、宗教的対立といった社会問題が織り交ぜられており、物語を進める中で人間の愚かさや欲望がリアルに描かれます。特に『魔神転生II』では、未来からの介入や代行者と呼ばれる神の化身たちの存在が物語に深みを与え、単なる正義と悪の二元論では語れない多層的なドラマが展開されます。道徳や倫理、宗教観の揺らぎが選択肢として提示される場面も多く、どのルートが正しいのかをあえて明言しない作りが、プレイヤーの内面に問いを投げかけ続けます。こうした深く重い世界設定こそが、本シリーズを単なる戦術RPG以上の存在に押し上げている理由の一つです。

成長と進化が交錯する悪魔合体・REMIXシステム

成長と進化が交錯する悪魔合体・REMIXシステム
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シリーズ全体を通じてプレイヤーを魅了してやまないのが、悪魔同士を合体させて新たな悪魔を生み出す「悪魔合体」および後期作品での「REMIX(リミックス)」というシステムです。この機能はプレイヤーの戦略性を大きく高めるもので、どの悪魔をどう組み合わせるかによって生成される結果が変わるため、単なるレベル上げとは異なる奥深い育成要素が加わります。また、合体において特技(エキストラ)の継承が可能であるため、強力なスキルを複数持った悪魔を育成することで、難易度の高いステージにも対応可能になります。さらに、本作では「ミューテーション」と呼ばれる偶発的な進化も存在し、予定外の強力な悪魔が誕生するサプライズがプレイヤーの創造意欲を刺激します。これにより、ただの作業としての合体ではなく、まるで錬金術のような実験的な試行錯誤がゲームプレイの一部として楽しめるのです。特に『魔神転生II』では3身合体や精霊合体といった上位システムが導入され、構成の自由度と奥深さが格段に増しています。最適な悪魔を見つけ出し、最強のチームを構築するその過程こそが、プレイヤーにとって最大の楽しみでありやり込み要素となっています。

プレイヤーの選択が運命を左右するマルチエンディング構造

プレイヤーの選択が運命を左右するマルチエンディング構造
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『魔神転生』シリーズのストーリーテリングの手法として特筆すべきは、プレイヤーの選択によって分岐するマルチエンディング構造の完成度の高さです。各作品において、主人公の行動や会話、選択肢によってストーリーの流れが大きく変わり、最終的に異なるエンディングへと到達するようになっています。単なる結末の違いではなく、その過程で仲間になるキャラクターや出現する敵、手に入るアイテムまでが変化するため、プレイヤーの選択がもたらす影響は非常に大きいのです。特に『魔神転生II』ではロウ、カオス、ニュートラルという属性に加えて、それぞれがさらにライトとダークに分かれるという五つのルートが用意されており、それぞれに独立した展開とエンディングが用意されています。どのルートを選ぶかによって、味方になるキャラクターが変わるだけでなく、登場する敵の姿やセリフにも明確な差異が生じるため、全てのルートを体験することでシリーズの真価に触れることができます。このように、単一の「正解」が存在しない構造により、プレイヤー自身の選択に責任を持たせる設計は、ゲーム体験に強い緊張感とリアリティをもたらしているのです。

作品ごとに進化するシステムと新たな挑戦

作品ごとに進化するシステムと新たな挑戦
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『魔神転生』シリーズは、単に人気を受けて続編を出すのではなく、各作品ごとに明確な進化を遂げ、新たな挑戦を繰り返してきた点でも高く評価されています。初代『魔神転生』ではスーパーファミコンでの表現力を活かし、シミュレーションRPGと悪魔召喚の要素を初めて融合させる試みに成功しました。続編の『魔神転生II』ではゲームシステムの根幹を見直し、属性相性や戦略拠点の導入、会話による仲魔獲得条件の緻密化などが図られ、ゲーム性に厚みが加わりました。さらにセガサターンで発売された『RONDE』では、3Dポリゴンによる戦闘シーンや複雑な仲魔管理機能など、新機軸のシステムを数多く導入しようという意欲が見て取れます。一方で、携帯電話アプリ版として登場した『blind thinker』シリーズでは、初代の原点回帰とスマートデバイスへの最適化を両立させており、幅広いユーザー層にシリーズを届ける試みがなされました。このように、各作品がただの続編にとどまらず、その都度新しい方向性や挑戦を見せる姿勢こそが『魔神転生』シリーズの真の魅力であり、ファンにとっては次の作品への期待を抱かせる最大の要因になっているのです。

シリーズの一覧

魔神転生

魔神転生
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魔神転生|スーパーファミコン (SFC)|アトラス|レトロゲームから最新ゲームまで検索できるゲームカタログのピコピコ大百科
アトラスより1994年1月28日にスーパーファミコン用ソフトとして発売された。『女神転生』シリーズの派生作品で同シリーズの悪魔合体といった要素や世界観を継承したシミュレーションRPGとなっている。システムはターン制で、最初に味方が行動し、…

1994年にスーパーファミコン向けにリリースされた『魔神転生』は、女神転生の派生作品としての立ち位置を確立しつつも、独自の戦略性とシリアスな物語で注目を集めました。プレイヤーは近未来の東京で、突如として現れた悪魔たちとの戦いに巻き込まれます。主人公の元には突如「悪魔召喚プログラム」が届けられ、これを機に悪魔を仲魔(ナカマ)として使役することが可能となります。

ゲームの進行はターン制バトルによって構成されており、プレイヤーのターン、敵のターン、中立ユニットのターンという順に進んでいきます。中立ユニットは黄色で表示され、敵(赤)にも攻撃されるため、プレイヤーは状況に応じて戦略を変える必要があります。また、「はなす」コマンドによって、敵と会話し、仲魔に引き入れることができるのは本作の大きな魅力の一つです。月齢によって会話の成功率が変化し、新月が最も成功しやすく、満月では一切交渉ができないという設定も、プレイヤーに時間的な戦略を求める要素となっています。

魔神転生
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さらに、仲魔は合体によって新たな悪魔を生み出すことができ、「邪教の館」での合体システムは女神転生シリーズでおなじみのものでありつつも、戦闘中でも合体が可能という新たな要素が追加されています。ただし、本作では精霊合体や三体合体は存在せず、シンプルな二体合体が中心です。

仲魔には「クラス」と呼ばれる8段階のランクが存在し、戦闘で経験値を得ることでクラスアップが可能になります。クラスアップによって習得できる特技は魔法系・物理系問わず強力で、しかも反撃を受けないため、戦術的に非常に重宝される存在です。特技は合体によって継承させることもできるので、強力な仲魔を作るためのビルド要素も用意されています。

魔神転生
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物語は、近未来の東京を舞台に、民族紛争によって荒廃した世界で主人公が悪魔との戦いに挑むという重厚な内容です。記憶喪失の少女や自衛隊の軍人、天使ウリエルといった多彩な登場人物が織りなす群像劇は、ストーリーの進行によってプレイヤーの選択肢によって分岐し、複数のエンディングに到達することができます。

このように、『魔神転生』は戦術性と交渉、育成、そして選択による分岐が巧みに絡み合った奥深い作品であり、当時のRPGファンから根強い支持を受けました。

魔神転生II SPIRAL NEMESIS

魔神転生II SPIRAL NEMESIS
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魔神転生2 スパイラルネメシス|スーパーファミコン (SFC)|アトラス|レトロゲームから最新ゲームまで検索できるゲームカタログのピコピコ大百科
アトラスより1995年2月19日にスーパーファミコン用ソフトとして発売されたシミュレーションRPG。『魔神転生』の続編。物語の舞台は1995年の東京。突如未来から来た男により、東京は悪魔に支配される。1年後、悪魔と戦う組織「パルチザン」の…

続編である『魔神転生II SPIRAL NEMESIS』は、1995年にスーパーファミコンで登場しました。前作の基本的なゲームシステムを踏襲しつつ、より複雑で戦略的な要素を加え、物語とシステムの両面で大幅な進化を遂げています。物語の舞台は1995年の東京。未来から現れた謎の男によって東京は悪魔に占拠され、その1年後、主人公たちはレジスタンス組織「パルチザン」として悪魔の勢力に抗うことになります。

本作では「悪魔召喚プログラムDIO」を用いて悪魔を召喚しますが、主人公以外にも複数のキャラクターがこのプログラムを使用できるようになります。DIOを扱えるキャラクターが増えることにより、召喚できる悪魔の数が最大45体にも達し、部隊の戦略性はさらに深まります。また、各キャラクターには明確な個性とバックストーリーが与えられており、彼らの成長と関係性も物語を彩る大きな要素です。

魔神転生II SPIRAL NEMESIS
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システム面では、前作では存在しなかった「戦略拠点」の概念が導入され、マップごとの勝利条件にも変化が加わりました。拠点を奪われると敗北するという新たなリスク要素が加わり、プレイヤーは単に敵を殲滅するだけではなく、防衛や位置取りにも注意を払う必要があります。

また、悪魔との会話システムも強化され、同種族間での会話が可能となりました。種族同士の相性がより重要視されるようになり、属性や武器の相性、さらには種族間の関係まで考慮した戦略が求められます。さらに、悪魔は武器や防具を装備できるようになり、育成の幅が広がった点も注目すべき変化です。

合体システムは「REMIX(リミックス)」と名を変え、三体合体や精霊合体が実装されることで、より自由度の高い悪魔合成が可能になりました。また、「DATA ERROR」と呼ばれる合体事故によって出現するレア悪魔、いわゆる突然変異も存在し、このランダム性はプレイヤーに驚きと新鮮な戦略をもたらしました。

魔神転生II SPIRAL NEMESIS
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エキストラ(前作での特技)は、より多様な種類が追加され、ほとんどすべての悪魔が何らかのエキストラを習得可能です。中でも「マインドキャッチ」や「リバイバル」などは特に便利で、仲魔の収集や戦闘に大きく貢献します。

物語も前作以上に重厚で、唯一神の意思を体現する4体の代行者──ミカエル、ルシファー、サタン、ベルゼブブ──との対峙は、ただの善悪二元論ではない複雑な構造を持っています。プレイヤーの選択次第でルートが5通りに分岐し、それぞれに専用の展開とエンディングが用意されています。ロウ、カオス、ニュートラルというシリーズおなじみの属性概念が選択に影響を与える点は変わらず、どの勢力に加担するかによって得られる仲魔やストーリー展開が大きく変化します。

このように『魔神転生II』は、前作の持つシステムを進化させつつ、分岐・育成・交渉・戦略という女神転生らしさを高めた傑作といえるでしょう。

RONDE 輪舞曲

RONDE 輪舞曲
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ロンド 輪舞曲|セガサターン (SS)|アトラス|レトロゲームから最新ゲームまで検索できるゲームカタログのピコピコ大百科
アトラスの人気シリーズ「女神転生シリーズ」の派生作品『魔神転生』、『魔神転生2』の流れをくむシミュレーションRPG。キャラクターデザインは漫画『真・女神転生カーン』の柳澤一明。悪魔デザインはゲームボーイカラー版『女神転生外伝 ラストバイブ…

1997年にセガサターンで登場した『RONDE〜輪舞曲〜』は、『魔神転生』シリーズとしては初の32ビット機対応作品です。開発はアトラスではなく、『デビルチルドレン』や『ラストバイブル』シリーズの制作で知られるマルチメディア インテリジェンス トランスファーが担当しました。メイン開発陣が『ソウルハッカーズ』に集中していたため、本作は外部スタジオによる試みという位置付けでした。

物語は2008年の東京を舞台に、T大学の調査隊がアステカ文明の遺跡から発掘したクリスタル像が悪魔「モレク」として実体化し、主人公の弟・聡を連れ去る場面から始まります。主人公・飛鳥は弟を取り戻すため、仲間たちと共に悪魔との戦いに巻き込まれていきます。この導入からもわかる通り、本作は一見SF風な現代劇と、神話やオカルトを絡めた世界観が融合しており、『女神転生』シリーズらしさを漂わせています。

ゲームシステムにおいて、本作はこれまでのシリーズとはやや異なる方向性を示しています。戦闘では通常の経験値(EXP)に加え、トレーニングポイント(TRN)が存在し、TRNが一定値に達するとランクアップし、移動力や仲魔契約数、召喚可能範囲といったステータスが強化されていきます。単なるレベル制ではない成長システムは、戦術に多様性をもたらしています。

RONDE 輪舞曲
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仲魔システムでは、前作までのような「会話によって悪魔を説得して仲魔にする」システムが廃止されました。その代わりに、戦闘中に悪魔を倒した際にランダムで会話イベントが発生し、契約のチャンスが訪れるという仕様に変更されています。また、コンダクターと呼ばれる一部のキャラクターは特定種族との契約に特化しており、100%の確率で仲魔にできるという強力な能力を持っています。

戦闘において仲魔は「ユニット化」することでプレイヤーの操作下に置かれ、ニックネームを付けたり、装備品を装着することも可能になります。忠誠度というステータスが導入されており、契約した仲魔と多くの戦闘を共にすることで信頼を得て、より強力な行動を可能にするという育成要素も加えられました。また、マグネタイトの概念がより厳格になり、行動のたびに消費されるため、補給管理も戦略における重要な要素となっています。

悪魔合体は「REMIX(リミックス)」と呼ばれる本作独自のシステムに進化。戦闘マップ上では合体ができなくなり、代わりにリミックスステーションを利用して様々な新機能を活用できます。例えば、「ABSORB」は合体時に特定のアルカナ(旧作の特技)を継承させる新機能であり、「INJECT」は仲魔を武具と融合させて武器を強化する要素、「CLONE/INSTALL」では悪魔を複製することも可能です。さらには、悪魔遺伝子を融合する「CREATE」など、新たな合体の在り方を提案した点でも注目されます。

RONDE 輪舞曲
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登場人物も個性豊かで、主人公の飛鳥を筆頭に、巨漢の友人・慶太、知性派の桜子といった身近な人物から、ケルト研究家のワッツ、記憶喪失の黒人ムハマド、戦場の女軍人マリアや立川の神父ソロモンまで、ジャンルを超えた人物像が数多く登場します。中でも、コンダクター能力によって特定種族と契約できるキャラクターごとの役割が戦術に直結しており、仲間をどう育てていくかという選択もまたプレイヤーの腕に委ねられます。

しかしながら、本作は発売当初より評価が分かれる作品でした。体験版の配布時点でポリゴンモデルの粗さや演出の稚拙さが指摘され、予約キャンセルが相次ぐという事態に。3Dへの挑戦が裏目に出たとも言われますが、それでもゲームとしての基盤には独自の魅力があり、悪魔育成や戦術の奥深さを求めるプレイヤーにとっては一部に根強い支持を受けた作品となっています。

関連作品

携帯電話版

携帯電話版
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魔神転生 blind thinker

2007年に登場した『魔神転生 blind thinker』は、かつての名作『魔神転生』第1作をベースとした携帯電話向けの外伝的作品です。対応機種はiアプリ、S!アプリ、EZアプリと、当時の主要フィーチャーフォンに幅広く対応していました。マップ構成や戦闘の見た目は第1作とほぼ同じながら、モバイル向けにコンパクトに再設計され、プレイヤーは手軽に本格的な戦略RPGを楽しむことができました。

この作品でもマルチエンディングが採用され、プレイヤーの選択によってストーリーが分岐します。原作の雰囲気を保ちつつ、操作性やテンポの良さを意識した設計は、当時のモバイルゲームとしては非常に完成度の高いものでした。

また、2023年にはこの『blind thinker』が「G-MODEアーカイブス+」の一環としてNintendo SwitchおよびSteam向けにリマスター移植され、往年のファンのみならず新規ユーザーにも再び注目を集めることとなりました。現代のユーザーインターフェースに対応しつつも、原作のバトルや悪魔との関係性、合体の楽しさをそのまま味わえる点が評価されています。

魔神転生 blind thinker II

続編となる『blind thinker II』は2008年に配信され、前作と同様にフィーチャーフォン向けのアプリとして展開されました。タイトルから誤解されがちですが、本作は『魔神転生II SPIRAL NEMESIS』の移植ではなく、あくまでも『blind thinker』第1作を踏襲した独立した続編です。ここでもストーリーはマルチエンディング方式を採用し、選択によって仲間や展開が変わるという、戦略的かつ倫理的な選択が求められます。

ゲームのシステムは前作から大きな変更はなく、手軽に遊べる本格シミュレーションRPGというポジションを守りつつも、登場する悪魔や戦闘バランスが再調整され、よりテンポのよいゲーム体験が提供されました。

スマートフォンがまだ普及していなかった時代に、ここまで完成された戦略ゲームを携帯で遊べたという点でも、携帯ゲーム史において注目すべき存在といえます。

漫画版

漫画版
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上田信舟版

1994年から1996年まで『月刊Gファンタジー』にて連載された『魔神転生 THE TRUE REMEMBRANCE』は、ゲーム『魔神転生』をベースにしながらも、漫画家・上田信舟氏の独自の世界観と解釈が色濃く反映された作品です。当初は全3巻構成で終了する予定だったものの、連載当初から高い人気を得たことにより延長が決定され、最終的には全5巻の長期連載となりました。『Gファンタジー』創刊期の目玉作品の一つとして多くのファンに支持され、現在も語り継がれる存在です。

物語は、1990年代後半、戦争や災害により荒廃した日本を舞台に展開されます。旧首都が機能を失い、新たな首都が建設されつつある中、各地で群発する地震が人々の生活を脅かし、さらに「悪魔」の存在が都市伝説のように語られ始めるという不穏な世界観が描かれます。そんな中、主人公・都築敦也のもとに突然送りつけられた「悪魔召喚プログラム」が、彼の運命を大きく変えていくことになります。

敦也は早くに父を亡くし、母に代わって妹・澪を守り育ててきた責任感の強い青年です。ある日、澪が謎の悪魔に連れ去られたことをきっかけに、彼は悪魔たちとの戦いへと身を投じることを決意します。彼の中には、高位の神霊が宿っており、物語の進行とともにその力を発現させていきます。

物語の中心には、敦也の他にも個性的なキャラクターたちが登場します。記憶を失った少女・ミオは、自身の出自や能力に謎を秘めたまま物語に深く関わっていきます。フランスからやってきた「天使」と呼ばれる少年・エティエンヌは、強い正義感を持ちながらも人類に対する疑念を抱えており、当初は冷徹な論理主義者として描かれますが、敦也との出会いを通じて内面的な変化を見せていきます。

また、物語の中盤で登場する南一輝は、自衛隊の一等陸佐という軍人でありながら、部下を全滅させられた過去を持つという重い背景を持っています。彼は敦也たちの行動に共鳴し、共に行動することで贖罪を果たそうとします。さらに、邪教の館の案内役である少年姿の悪魔・トトや、妹・澪の秘められた力と運命などが絡み合い、ストーリーはゲームとはまた異なる独自の展開を見せていきます。

上田信舟版の最大の特徴は、キャラクターたちの内面に深く切り込み、心理描写に重きを置いた点にあります。ゲーム版では語られなかったキャラクターの背景や心情、そして悪魔との関係性が丁寧に描かれており、物語に深みを与えています。また、悪魔たちのデザインはゲーム版に準拠しており、シリーズファンにとっても違和感なく世界観に入り込むことができる構成となっています。

本作は、単なるゲームのコミカライズではなく、一つの独立したファンタジー・サスペンス作品として高い完成度を誇ります。重厚な世界観と巧みな構成力、そして読者を惹きつけるキャラクターたちによって、90年代のRPGファンのみならず多くの漫画読者の心をつかみました。

漫画各巻一覧
駿河屋 -魔神転生(1) / 上田信舟(その他サイズコミック)
駿河屋 -魔神転生(2) / 上田信舟(その他サイズコミック)
駿河屋 -魔神転生(3) / 上田信舟(その他サイズコミック)
駿河屋 -魔神転生(4) / 上田信舟(その他サイズコミック)
駿河屋 -魔神転生(5) / 上田信舟(その他サイズコミック)
駿河屋 -魔神転生 全5巻セット / 上田信舟(その他サイズコミック)
全5巻

冬凪れく版

一方、角川書店が発行していたゲーム雑誌『マル勝スーパーファミコン』にて連載されていた冬凪れく版『魔神転生』は、残念ながら単行本化はされていませんが、当時の読者には印象深い短期連載でした。

このバージョンは、上田信舟版とは異なり、ゲームのストーリーにより近い形で展開していたとされ、プレイヤーが知っている設定やキャラクター配置を重視した構成が特徴でした。表現はややコミカルな要素を含みつつも、悪魔との戦いや倫理的ジレンマに焦点を当てた真面目な一面も垣間見えました。雑誌連載という形態上、ページ数が限られていたため、ストーリーはテンポ重視で展開し、ゲームファンへの紹介的な側面も担っていたといえるでしょう。

ゲーム雑誌での連載という制約の中で、限られたページ数でいかに『魔神転生』の世界観を表現するかという挑戦は、当時のゲームファンにとって貴重な情報源でもありました。

MEIMU版

『魔神転生』シリーズの中でも異色の存在である『RONDE〜輪舞曲〜』は、1997年にセガサターン用にリリースされた作品で、漫画化も行われています。講談社の『コミックボンボン』新春増刊号に掲載された短編は、MEIMU氏によって描かれました。

この短編は、原作ゲームにおける飛鳥たちの戦いをベースにしつつも、1話完結形式のため、キャラクターの掘り下げや細かな設定にはあまり踏み込まず、アクションと設定の紹介に重点が置かれていました。MEIMU氏のシャープな画風は、悪魔たちの迫力あるビジュアルや緊迫した戦闘描写にマッチしており、作品全体に独特の雰囲気を与えています。

ページ数の制約からか、オリジナルキャラクターや展開の拡張は抑えられていましたが、ゲームファンにとっては『RONDE』の雰囲気を補完する資料として興味深い内容となっていました。特に、飛鳥が抱える葛藤や仲間との絆の描写には力が入り、ゲーム本編を補完する形でファンの心に残る作品となっています。

まとめ

まとめ
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『魔神転生』シリーズは、『女神転生』の精神を受け継ぎながらも、戦略性を重視したシミュレーションRPGとして独自の進化を遂げてきました。プレイヤーの選択が物語を左右する自由度、悪魔との交渉や合体を活かした奥深い戦術性、そして重厚な世界観が、長きにわたって多くのファンを魅了し続けています。

また、ゲームだけでなく漫画やアプリといったメディアミックスによって、多面的な魅力を発信してきた本シリーズは、今なお語り継がれる存在です。シミュレーションRPGという枠組みの中で、悪魔という存在をテーマに深く掘り下げた本作は、RPG史においても特異な輝きを放っています。

シミュレーションゲームRPGとしての面白さが十分にある作品なので、女神転生の派生作品で魔神転生シリーズがあるのを知らなかった人は、ぜひこの機会に遊んでみてはいかがでしょうか?

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