1990年代後半に展開された「アーケードギアーズ」シリーズは、当時ゲームセンターで話題を集めた名作を家庭用に移植して楽しめる企画です。アーケード版の空気感をできるだけそのままに、アクションやシューティング、パズルなど幅広いジャンルを収録している点が特徴です。ここでは各巻の内容を、作品名ごとのサブタイトルを付けて詳しく振り返ります。
シリーズの概要

「アーケードギアーズ」シリーズは、1997年から1998年にかけてエクシングより発売された家庭用移植企画で、アーケードで人気を博した名作タイトルを忠実に再現した作品群です。セガサターンやプレイステーションを舞台に展開され、アクションやシューティング、パズルといった多彩なジャンルのゲームが収録されました。第1弾『プリルラ』を皮切りに、『ガンフロンティア』『ワンダー3』『イメージファイト&X-マルチプライ』と続き、それぞれアーケードで高い評価を受けながらも出回りが限られていた作品を家庭で体験できる貴重な機会を提供しました。また、各巻にはアーケード専門誌『ゲーメスト』スタッフが手がけた攻略本が付属し、単なる移植にとどまらず資料的価値を備えていた点も大きな特徴です。アーケードの熱気を家庭に伝え、当時を知らない世代にも名作の魅力を届けたこのシリーズは、アーケード文化を振り返る上で重要な存在となっています。
シリーズの魅力
アーケードの熱気を家庭で再現

このシリーズの最大の特徴は、当時ゲームセンターでしか体験できなかった名作アーケードゲームを、家庭用ハードで遊べるようにした点です。オリジナルの演出や独特の操作感をそのままに再現し、画面の雰囲気やテンポまで忠実に移植されているため、家庭で手軽にアーケードの空気を感じられるのが大きな魅力でした。特にゲームセンターでは限られたプレイ時間しか確保できなかった作品を、自宅でじっくり腰を据えて遊べることは当時のプレイヤーにとって大きな喜びだったのです。
幻の名作を発掘できるラインナップ

「アーケードギアーズ」に収録されたタイトルの中には、ゲームセンターで稼働台数が少なく、目にする機会が限られていたものも含まれていました。例えば『プリルラ』はその奇抜な演出と独特の世界観から話題になった一方で、出回りが少なかったため“幻の名作”と呼ばれたほどです。シリーズを通じて、当時なかなか遊べなかった希少な作品に触れられる点は、プレイヤーに新しい発見を与え、アーケード史を振り返る上で貴重な役割を果たしています。
ジャンルを超えた多彩な体験

本シリーズではアクション、シューティング、パズルなど、ジャンルの幅広さも魅力です。『ガンフロンティア』のように西部劇をモチーフとしたストーリー重視のシューティングから、『ワンダー3』の3種類のゲームを一度に楽しめるオムニバス形式、さらに『イメージファイト』や『X-マルチプライ』のような硬派なシューティングまで、多様な作品が揃っています。一つのシリーズを追うだけで、ジャンルをまたいだアーケード文化の奥行きを堪能できる点は、この企画ならではの強みといえます。
資料的価値の高い付属品

各巻には、倒産した新声社が刊行していたアーケード専門誌『ゲーメスト』のスタッフが制作した攻略本が付属しました。単なる取扱説明書ではなく、攻略法や設定資料が盛り込まれており、当時のプレイヤーにとってはゲーム体験を深める重要なツールでした。攻略の助けになるだけでなく、開発背景や演出意図を知ることでゲームをより広く理解でき、今となってはアーケード文化を記録した資料としても大変価値のある存在となっています。
アーケード史を語る上での重要性

「アーケードギアーズ」シリーズは、単なる移植作以上の意味を持っています。それは、アーケードゲームの歴史を家庭用という形で後世に伝える役割を担っていることです。稼働当時に触れることができなかった人々に再び体験の場を与え、また遊んでいた世代にとっては思い出を蘇らせるきっかけとなりました。名作を掘り起こし、保存するという意義が強く、現在もアーケード文化を研究する上で欠かせない資料群として語り継がれています。
シリーズの一覧
プリルラ アーケードギアーズ Vol.1

エクシングから発売されたシリーズの第一弾ソフトです。収録作は1991年稼働のアーケード版「プリルラ」で、不思議な国ラディッシュランドを舞台に、時間の流れを支える「時計じかけのネジ」をめぐる事件が描かれます。ネジを奪って時を乱す者が現れ、発明家の老人は街の少年ザックと孫娘メルに魔法の杖を託します。

ゲームはメルヘン調のキャラクターと世界観から始まりますが、進むほど演出が大胆になり、ステージ冒頭に巨大な実写画像が突然現れたり、ゲート両脇から巨大な足が飛び出したりと、シュールでハチャメチャな表現が畳みかけます。操作はシンプルで難度も控えめながら、強烈なインパクトが忘れがたい作りです。

アーケードでの稼働台数は多くなかったため、のちに「タイトーメモリーズ」で“幻の名作”と紹介されるほど出回りが限られていた背景があり、移植度の評価を下しにくいという事情も語られます。なお、倒産した新声社のアーケード専門誌『ゲーメスト』スタッフによる攻略本が同梱され、資料性の高さも見どころです。
ゲームソフト
セガサターン版

プレイステーション版

ガンフロンティア アーケードギアーズ Vol.2

収録作はアーケードの縦スクロールシューティング「ガンフロンティア」です。自機「デスペラード」を操り、宇宙海賊「ワイルドリザード」と対決します。当時のシューティングとしては物語性を前面に出した作りが目を引き、西部開拓時代を思わせる舞台設定や、リボルバー拳銃をモチーフにしたメカデザインが独自の世界観を形成しています。

アーケードの手応えを家庭で味わえることに加えて、本作にも『ゲーメスト』スタッフが手がけた攻略本が付属し、ステージ攻略や設定把握を丁寧に補助してくれます。
ゲームソフト
セガサターン版

ワンダー3 アーケードギアーズ Vol.3

本巻ではアーケードのオムニバス作品「ワンダー3」を収録し、サイドビューのジャンプアクション「ルースターズ」、横スクロールシューティング「チャリオット」、トップビューのアクションパズル「ドンプル」という異なる3作がまとめて楽しめます。

アーケード版の再現度に重きを置いた内容で、ジャンルの違いによる操作感の切り替えや、当時のアーケードらしいテンポの良さが一本で味わえる点が魅力です。また、取扱説明書とは別に『ゲーメスト』スタッフによる攻略本が付いた点もシリーズらしい特徴です。アクション、シューティング、パズルの順で手触りが大きく変わるため、続けて遊ぶと変化の妙がより際立ちます。
ゲームソフト
セガサターン版

プレイステーション版

イメージファイト&X-マルチプライ アーケードギアーズ Vol.4

アイレムの代表的シューティング2本を収めた巻です。収録の1本目「イメージファイト」は、自機「OF-1 ダイダロス」で訓練過程“イメージファイト”を突破し、ムーンベースに寄生したエイリアン殲滅を目指す構成が特徴です。訓練ステージと実戦ステージが段階的に用意され、操作精度と学習がそのまま突破力に結びつく設計になっています。

2本目の「X-マルチプライ」は、本作でコンシューマー初移植となったタイトルで、ミクロ化した自機で人体に寄生する極小のエイリアンを撃破していく横スクロールシューティングです。スケール感の転換によるビジュアルのインパクトと、2作品を続けて遊ぶことで見えてくるアイレム流の緊張感ある戦闘演出が大きな見どころです。いずれもアーケードで高い評価を受けた作品群であり、家庭で腰を据えて堪能できる点に意義があります。
ゲームソフト
セガサターン版

プレイステーション版

まとめ

「アーケードギアーズ」シリーズは、アーケードで話題を呼んだ“手触り”を家庭用に丁寧に持ち込んだ移植集です。『プリルラ』の奇想天外な演出、『ガンフロンティア』の物語性と西部劇モチーフ、『ワンダー3』の三者三様のゲーム体験、『イメージファイト』と『X-マルチプライ』の骨太なシューティングと、選定作はジャンルも色合いも多彩です。Vol.1〜Vol.3では『ゲーメスト』スタッフによる攻略本が付属し、当時のアーケード文化を文章や図版で追体験できる資料性も備えていました。発売日に複数の記述が併存する巻もありますが、いずれのタイトルも“アーケードの興奮をそのまま家庭で味わう”というシリーズの軸は一貫しています。限られた流通から“幻の名作”と語られた作品に再び触れられる価値は高く、今なおアーケード史を振り返るうえで重要なシリーズと言えます。
アーケードギアーズシリーズの一覧





















