【コスモポリス ギャリバン】宇宙刑事オマージュが生んだ硬派アクション

ゲームシリーズ
© 1993 日本物産 All Rights Reserved.

「コスモポリス ギャリバン」シリーズは、1985年のアーケード版を起点に、FC版のアクションRPG化、SFC版でのベルトスクロール化と大胆に変貌を遂げた作品群です。特撮的な変身ヒーロー要素と宇宙正義を核に、変身による爽快感や成長・育成要素を盛り込み、ジャンルの枠を超えて独自の魅力を放ち続けています。

シリーズの概要

シリーズの概要
© 1985 日本物産 All Rights Reserved.

「コスモポリス ギャリバン」シリーズは、1985年に日本物産がアーケード向けに発表したアクションシューティングから始まった作品群で、宇宙正義をテーマに“変身”の爽快感を核に据えています。初代は特撮作品を思わせる勧善懲悪の物語を背景に、生身からコンバットスーツへの変身で攻撃や防御を強化し、2面構成のループステージを突破する独自性が光りました。1988年にはファミリーコンピュータ版が登場し、探索型のアクションRPGへと再構築され、武器熟練度や成長システムを軸に暗黒組織を討つ奥深い冒険を描きました。さらに1993年のスーパーファミコン版『コスモポリス ギャリバンII』ではベルトスクロール型アクションへとジャンルを転換し、個性的な3キャラクターと育成要素、対戦モードを盛り込み多彩な遊び方を実現しました。ジャンルを横断しながらも特撮的ヒーロー像と宇宙正義の物語を貫き、音楽や演出でも独自の存在感を放ち続けたシリーズは、今なお移植や配信で触れることができる魅力的な作品群です。

シリーズの魅力

変身ヒーローの高揚感と特撮オマージュの熱量

変身ヒーローの高揚感と特撮オマージュの熱量
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本シリーズの核にあるのは、プレイヤー自身が変身して戦うというわかりやすい高揚感です。アーケード版『コスモポリス ギャリバン』では、生身の状態で「パワークリスタル」を入手すると瞬時にコンバットスーツを装着し、防御力が上がるうえに「バスター銃」や一時的に強力な「レーザーブレード剣」「コズミッククラッシュ」といった必殺の手段が解放されます。キャッチコピー「PLAYERが変身! 新しいゲームヒーロー誕生」はその体験を端的に示しており、宇宙刑事を題材にした特撮テレビ番組群へのオマージュが作風全体に息づいています。敵の本拠へ単身乗り込む宇宙戦士という構図、宇宙犯罪組織や首領との直接対決という勧善懲悪の語り口は、操作と物語が噛み合う作劇になっており、変身で一気に突破する展開はプレイの見せ場を明確に作ります。音楽面でも印象が強く、アーケード版はゲームミュージックに“オーケストラル・ヒット”が用いられた作品とされ、ヒーロー像とサウンドが結びつくことで記憶に残る体験になっています。

作品ごとに大胆に変わるゲームジャンルの振れ幅

作品ごとに大胆に変わるゲームジャンルの振れ幅
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同じ世界観の根にある“宇宙正義”を保ちながら、各作の手触りは大きく変化します。アーケード版は縦画面・サイドビューの4方向スクロール型アクションシューティングで、自由に道順を選べる探索性とループ構造の密度が特徴です。対してファミリーコンピュータ版はアクションRPGとして再構築され、経験値による成長、最大HPや最大CP(クリスタルパワー)の上昇、装備やアイテムの使い分けが主役になります。さらに『コスモポリス ギャリバンII』はスーパーファミコン向けのベルトスクロールアクションへ転身し、ガードや上段・下段、距離による技の変化など対戦格闘由来の要素を取り込みつつ、5ステージ×各3エリアという構成で殴り合いの面白さを前面に出しています。シリーズ内でジャンルが横断されることで、同じ題材を別角度から味わえるのが魅力であり、遊ぶごとに新鮮な発見があります。

クリスタルと武装が生む戦術のうねり

クリスタルと武装が生む戦術のうねり
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アーケード版のゲームデザインは、限られた尺の中で戦術の波をはっきり描きます。「パワークリスタル」による即時変身とPOWER全快、変身中のみ使える遠距離攻撃「バスター銃」、さらに青・赤クリスタル取得時だけ8秒間解放される「レーザーブレード剣」と「コズミッククラッシュ」が、短い時間で主導権を握るチャンスを生み出します。背景演出としての水中や異次元風の表現、進行方向を示す矢印マーク、上下移動を担う階段状のレベルデザインなど、視覚と操作が噛み合う導線も明快です。全2ステージを周回する構造は密度を高め、敵配置とリソース管理を覚えるリプレイの面白さへ収束します。完成途上のプロジェクトを藤原茂樹が引き継いだ経緯からステージは短めながら、変身と必殺技の運用、ルート選択の自由度が組み合わさることでメリハリの利いたアクション体験が凝縮されています。

探索と成長が噛み合うアクションRPGの設計

探索と成長が噛み合うアクションRPGの設計
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ファミリーコンピュータ版は、敵基地を6エリアに分け、進行の鍵を“探す・鍛える・使い分ける”の三点に置いた作りです。敵を倒して得た経験値でレベルが上がり、最大HPと最大CPが伸びることで、CP消費のウェポンやアイテムを活かす余地が広がります。主武器のブレードはビーム、メタル、ファイアー、レーザー、サンダー、ハイパー、コスモの7種類が存在し、それぞれにC→B→Aと段階的に威力が増す独立の熟練度が用意されています。各エリアのボスには、そのエリアで新たに手に入れたブレードしか通用しない設計のため、探索で“正しい刃”を見つけ、使い込みで強化し、ボスにぶつけるという循環が明確です。ハイパーレイやコスモブーメラン、カプセルボンバー、スパークボール、プリズムウェイヴといった飛び道具は地形の破壊にも関わり、4種類の「クリスタル」は隠し通路の出現など進行のトリガーとして働きます。変身はGPゲージが最大で発動し、被ダメージ半減という安定性を与える一方、攻撃性能は据え置きのため、装備運用と資源管理の妙で突破口を開くタイプのバランスが楽しめます。最終目標である首領マディウス討伐までの道のりは、調達と強化の積み重ねそのもので、謎解きと戦闘が同じ方向を向いて進む気持ちよさがあります。

個性の異なる3キャラクターと成長配分の戦略

個性の異なる3キャラクターと成長配分の戦略
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『コスモポリス ギャリバンII』は、ギャリバン、クィーンビー、メタルホークという手触りの異なる3キャラクターを用意し、格闘アクションとしての厚みを生み出しています。ギャリバンは防御と攻撃に優れ、ブレードで斬る「セイバースラッシュ」と左右に広がる「メガブレイク」で力強く押し切るスタイルです。クィーンビーはスピードとジャンプに優れ、巨大な気弾「咆哮炎虎」と空中から撃ち降ろす「力破砕弾」で機動戦を得意とします。メタルホークは身体を武器化する「コズミックアーツ」の使い手で、「バイオトマホーク」や「ジェノサイドキャノン」によって変形攻撃の妙味を味わえます。各ステージクリア後に得られるボーナスポイントは、HP、攻撃力、防御力、ジャンプ力、スピードの5項目へ自由配分でき、プレイヤーの戦い方に合わせた育成が可能です。操作系にはガード、上段・下段、距離による技の変化といった対戦格闘的な概念が取り入れられ、敵の配置や間合いの管理がゲーム性の中心になります。さらに本編とは別に一対一で戦う「BATTLE」モードが用意され、「The Allow of Justice」の3人に加えて一部の敵も使用できるため、キャラクター研究と技相性の理解が遊びの奥行きを広げます。音楽は前作と同じ吉田健志が担当し、シリーズ共通のフレーズが流れることで、ジャンルが変わっても“ギャリバンらしさ”が通底しています。

シリーズの一覧

コスモポリス ギャリバン

コスモポリス ギャリバン
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コスモポリス ギャリバン|ファミコン (FC)|日本物産|レトロゲームから最新ゲームまで検索できるゲームカタログのピコピコ大百科
日本物産より1988年6月3日にファミコン用ソフトとして発売された横スクロールアクションゲーム。宇宙暗黒組織と戦う宇宙刑事ギャリバンが主人公となる。マップは600画面以上。アイテムやウェポンを集めて、捕虜になってしまった仲間を助け出そう。…

1985年10月、日本物産がアーケード向けに送り出した横視点・縦画面の4方向スクロール型アクションシューティングです。宇宙戦士ギャリバンを操り、宇宙犯罪組織「アクー」の本拠へ単身突入し、首領ゴースを討つ物語が展開します。特撮の『宇宙刑事』シリーズへの明確なオマージュで、キャッチコピーは「PLAYERが変身! 新しいゲームヒーロー誕生」とうたわれました。開発は藤原茂樹がディレクションとゲームデザインを担当し、音楽は『テラクレスタ』でも知られる吉田健志が手がけています。途中から藤原が引き継いだ経緯によりステージ尺が短く、完成と未完成の境目のような独特のテンポを持つ作品となりました。またゲームミュージックには“オーケストラル・ヒット”がいち早く取り入れられたとされる点でも語られます。

コスモポリス ギャリバン
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遊びの核は、レバー+2ボタンでの移動・しゃがみ・ジャンプと、パンチとキックの近接攻撃です。ライフ制のPOWERゲージがゼロでミスとなり、道中で拾う「パワークリスタル」が回復や強化に直結します。特徴的なのが瞬時の変身で、生身の状態でクリスタルを取るとコンバットスーツが装着され、防御面が強化されるうえ、パンチは遠距離対応の「バスター銃」に置き換わります。さらに青いクリスタルで幅広ビームを放つ「レーザーブレード剣」、赤いクリスタルで貫通力の高い「コズミッククラッシュ」が一定時間だけ解放され、短い持続の中で敵集団を一掃できます。ステージは全2面で、クリア後は1面に戻るループ構造です。基地内部は水中や異次元風の表現など多彩な背景で彩られますが、あくまで演出であり操作やルール自体は変わりません。矢印マークが進行方向の手がかりとして機能し、強制スクロールではない自由探索の感覚が味わえます。

コスモポリス ギャリバン
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移植と展開も幅広く、1986年には欧州でAmstrad CPCやコモドール64、ZX Spectrumなどのホビーパソコンへ移植され、1988年にはファミリーコンピュータ版が発売されました。家庭用は内容が大きく改編され、アクションRPGとして再構築されています。のちにファミコン版は2015年にWindows向け「プロジェクトEGG」で配信され、アーケード版は権利を継承したハムスターにより「アーケードアーカイブス」としてPlayStation 4(2015年)とNintendo Switch(2021年)で遊べるようになりました。

コスモポリス ギャリバン
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ファミコン版は横視点の探索型アクションRPGで、自動セーブに対応します。6エリア構成の敵基地を進み、首領マディウスに挑むのが目的です。4方向スクロールと画面切替えを併用し、敵を倒して経験値をためるとレベルが上がり、最大HPや、武器やアイテムの使用に必要な最大CP(クリスタルパワー)が伸びます。敵が落とすPマークでGPゲージを満たすと即座にスーツ装着となり、被ダメージが半減しますが、攻撃性能は変わりません。主武器のブレードはビームブレード、メタルブレード、ファイアーブレード、レーザーブレード、サンダーブレード、ハイパーブレード、コスモブレードの7種が登場し、使い込むほどC→B→Aと段階的に威力が上がる独自の熟練度を持ちます。

コスモポリス ギャリバン
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各エリアのボスには、そのエリアで新たに手に入るブレードしか有効ではないため、探索と強化のサイクルがゲームデザインの軸になっています。加えて、ハイパーレイやコスモブーメラン、カプセルボンバー、スパークボール、プリズムウェイヴといったCP消費型の飛び道具や、特定の場所で隠し通路を出現させる4種類の「クリスタル」、敵弾をはじく「ブレードパワー」、バリアー地帯を無効化する「バリアーシールド」、HPを回復する「ライフカプセル」、変身を安定化させる「オートプロテクト」、空を飛べる「ジェットブーツ」など、状況を切り開く装備も多数用意されています。物語では、暗黒組織「マドー」と対峙する宇宙連邦警察が多くの戦士を失い、最後のサイボーグ戦士ギャリバンに起死回生を託します。スタッフは、アーケード版がディレクター藤原茂樹、サウンド吉田健志ほか、ファミコン版が企画・川本裕昭、プログラム・山本廣、デザイン陣やサウンドチームが参加しています。評価面では、ファミコン通信のクロスレビューで29/40点、読者投票の「ゲーム通信簿」では総合17.41/30点と、探索や成長要素を評価しつつもバランス面などに賛否が分かれた結果となりました。欧州版ではYour SinclairやZzap!64、ASMなどの誌面でも中位程度のスコアが並びます。

コスモポリス ギャリバンII Arrow of Justice

コスモポリス ギャリバンII Arrow of Justice
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コスモポリス ギャリバン2|スーパーファミコン (SFC)|日本物産|レトロゲームから最新ゲームまで検索できるゲームカタログのピコピコ大百科
日本物産より1993年6月11日にスーパーファミコン用ソフトとして発売された格闘アクションゲーム。ギャリバン、クィーンビー、メタルホークの3人のコスモポリスが宇宙の平和を守るため敵と戦う。特徴の異なる3人から1人を選び、宇宙を支配しようと…

1993年6月11日にスーパーファミコン向けに発売された続編で、前作・ファミコン版とはジャンルも物語もつながらないベルトスクロールアクションです。プレイアブルはギャリバン、クィーンビー、メタルホークの3人から選択し、宇宙シンジケート「マーガ」を率いる魔人グロゥブスを討つため、宇宙警察連邦が送り込んだ精鋭チーム「The Arrow of Justice」として戦います。音楽は前作と同じ吉田健志で、BGMには同一の楽曲が用いられています。

コスモポリス ギャリバンII Arrow of Justice
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ゲームは全5ステージ構成で、各ステージは3エリアから成り、最後にボス戦が待ち受けます。クリアごとに得られるボーナスポイントをHP、攻撃力、防御力、ジャンプ力、スピードの5項目に自由配分して成長させられるのが魅力です。操作面ではガード、高・低の打ち分け、距離による技の変化など、対戦格闘的な概念を導入しつつ、周囲の敵を一掃する緊急回避的な専用技はあえて用意されていません。各キャラクター固有の必殺技は2種類ずつ設定され、ギャリバンは「セイバースラッシュ」と「メガブレイク」で重厚に斬り裂き、クィーンビーは「咆哮炎虎」と「力破砕弾」で機動力と火力を両立させ、メタルホークは身体を武器へと変形させる「バイオトマホーク」と「ジェノサイドキャノン」で異能を見せます。

コスモポリス ギャリバンII Arrow of Justice
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併設の「BATTLE」モードでは一対一の対戦に特化し、「The Allow of Justice」と表記される3人に加え、一部の敵キャラクターも使用可能です。2011年にはWindows向けに「コスモポリス ギャリバン」名義でプロジェクトEGGから配信が行われ、再び触れられる機会が生まれました。スタッフはプログラマーのたぬまけんいち、わたなべじゅんいちを中心に、多数のグラフィッカーとサウンド、デザインチームが参加しています。レビューは『ファミコン通信』のクロスレビューで20/40点、『ファミリーコンピュータMagazine』の読者投票で総合19.3/30点という結果で、育成要素や3キャラクターの個性が話題を呼びつつも、難度設計やシステムの好みが評価に影響した印象です。

まとめ

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「コスモポリス ギャリバン」シリーズは、変身で局面を切り開くカタルシス、アーケードから家庭用、そしてスーパーファミコンへと連なるジャンルの横断、クリスタルと武装が織りなす短期決戦の戦術、探索と成長が一本の線でつながるRPG的な達成感、三者三様のキャラクター性と成長配分の戦略性という5つの柱でできています。アーケード版の凝縮されたループ、ファミコン版の装備と謎解きの循環、スーパーファミコン版の格闘的文法と対戦モードが、それぞれ違う角度から“宇宙正義”の手触りを描き出します。藤原茂樹のディレクションと吉田健志の音楽という作り手の個性、そして特撮への明確なオマージュが、シリーズ全体の芯を強く保ち続けています。配信や移植によって今も触れやすい環境が整っており、どの作品から始めても、変身の爽快感と設計の妙を通して、時代を超えて楽しめる魅力がはっきりと伝わってくるシリーズです。

コスモポリスギャリバンシリーズの一覧

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