【ウルティマオンライン】ウルティマシリーズの世界感を継承した本格MMORPG

ゲームシリーズ
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本記事では、インターネットRPGの礎を築いた「ウルティマ・オンライン(Ultima Online)」について、その発表から成長、特徴的なシステム、そして今日に至るまでの変遷を徹底的に解説します。1997年に登場して以来、MMORPGというジャンルに多大な影響を与えた本作の魅力を、細部に至るまで詳しくご紹介します。

作品の概要

作品の概要
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ウルティマ・オンラインは、リチャード・ギャリオットの手によって開発され、ウルティマシリーズの世界観をベースにした多人数同時参加型オンラインRPGです。1997年にサービスが開始され、以降数多くの拡張パックやアップデートが重ねられてきました。プレイヤーは広大なブリタニアの地で、戦士、魔法使い、大工、商人など、自由な生き方を選び取ることができ、経済活動や家の建築、対人戦闘など、様々な楽しみ方が用意されています。フェルッカやトランメルなどの複数のファセットを舞台に、対人戦や平和な冒険、探検、交易などが展開される世界は、リアルなコミュニティ形成を促し、仮想世界に生きる実感を与えてきました。今日のMMORPGにおける多くの常識を確立したパイオニアであり、今もなおコアなファンに愛され続ける金字塔的存在です。

作品の魅力

圧倒的な自由度を誇る育成システム

圧倒的な自由度を誇る育成システム
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ウルティマ・オンラインでは、レベル制ではなくスキル制を採用しています。これはプレイヤーが行動することでその技能が自然に成長する仕組みであり、剣を振れば剣術が、魔法を唱えれば魔法スキルが上昇していきます。このシステムにより、冒険者だけでなく、大工、鍛冶職人、商人、さらには盗賊や暗殺者といったさまざまな職業を自由にロールプレイすることができるのです。スキル構成も完全に自由で、戦士兼鍛冶屋、魔法使い兼大工など、組み合わせ次第で無限のキャラクタービルドが可能となっています。誰一人として同じ成長を辿るプレイヤーはいない、まさに自由な世界がここにあります。

仮想世界を支えるリアルな経済と生産活動

仮想世界を支えるリアルな経済と生産活動
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戦闘だけがウルティマ・オンラインの楽しみではありません。むしろ、生産活動こそがこの世界を支える大きな柱となっています。プレイヤーは素材を採取し、それを使って武器や防具、家具、料理、薬品など、ありとあらゆるものを製作できます。製作されたアイテムには「高品質品」や製作者の名前を刻むことができ、プレイヤー間で取引されることで経済が成立しています。さらに、需要と供給によって価格が変動するダイナミックな市場があり、商人プレイを極める者も少なくありません。このリアルな経済活動により、単なるゲームを超えた社会シミュレーションを体験できるのが本作の大きな魅力です。

多彩なファセットによる冒険の幅広さ

多彩なファセットによる冒険の幅広さ
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ウルティマ・オンラインの世界は単一ではありません。元のブリタニアに加えて、フェルッカ、トランメル、ロストランド、イルシェナー、マラス、徳之諸島、ハートウッド、テルマーといった複数のファセット(並行世界)が存在しています。それぞれに独自の文化やルール、冒険の舞台が広がっており、例えばフェルッカではプレイヤー同士の戦闘が可能な一方、トランメルは平和が保たれている世界です。また、恐竜の住むロストランドや、異形の魔物が跋扈するイルシェナーなど、探索するだけでもスリルと発見に満ちた冒険が待っています。新たな世界への扉は常に開かれており、プレイヤーは気の向くままに旅を続けることができます。

住まいとインテリアによる個性の発揮

住まいとインテリアによる個性の発揮
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ウルティマ・オンラインでは、プレイヤーが自らの土地を手に入れ、家を建てることができます。この住宅システムは非常に自由度が高く、クラシックハウスを建てるもよし、カスタムハウスで一からデザインするもよし、世界に一つだけのオリジナルハウスを作り上げることが可能です。家の中では家具を配置したり、アイテムを飾ったり、さらには生活空間を作り上げることもできます。イベント時には自宅を装飾して仲間を招き、パーティーを開くこともできるなど、単なる拠点にとどまらず、コミュニケーションと自己表現の場としても活用できます。この「住まい」の存在が、プレイヤーにとって世界をより身近で愛着あるものにしているのです。

プレイヤー同士のリアルな関わりとコミュニティ

プレイヤー同士のリアルな関わりとコミュニティ
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ウルティマ・オンラインが他のゲームと一線を画す最大の理由は、プレイヤー同士のリアルな関わりにあります。単なるチャットやパーティーシステムを超えて、ギルドを結成したり、結婚式を挙げたり、冒険を共にした仲間と助け合ったり、時には裏切り合ったりと、人間関係が濃密に描かれる世界なのです。フェルッカではPK(プレイヤーキラー)との命がけの戦いが繰り広げられ、トランメルではのんびりと商売や内装に励む生活があります。家族のような絆を育むギルド、名声をかけた大規模な戦争、深夜まで続く雑談、すべてがプレイヤー主体で生まれ、成り立っています。仮想世界でありながら、そこには確かに”生きた”人間関係が存在しているのです。

作品の説明

ウルティマオンライン

ウルティマオンライン
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「ウルティマ・オンライン」は、1995年にElectronic Entertainment Expoで初公開され、1997年に正式リリースされました。当時はまだインターネットが一般家庭に広まっていない時代であり、そんな中で「世界中のプレイヤーが同じ仮想世界で冒険できる」というコンセプトは画期的でした。開発の中心には、ウルティマシリーズの生みの親リチャード・ギャリオットが関わっており、彼自身がゲーム内キャラクター「ロード・ブリティッシュ」として登場していたのもファンにとっては大きな話題でした。

ウルティマオンライン
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ウルティマ・オンラインは、スキルベースの成長システムを採用している点が大きな特徴です。他の多くのRPGがレベルアップ制を採っている中で、本作では行動によって個別のスキルが成長していく方式が取られており、例えば魔法を使えば魔法スキルが、剣を振るえば剣術スキルが上がります。このため、キャラクター育成の自由度が非常に高く、戦士、魔法使い、大工、鍛冶職人、商人、果ては盗賊に至るまで、プレイヤーは自分の好きな生き方を選択することができます。

また、ウルティマ・オンラインの世界観も他に類を見ない独自性を持っています。物語の舞台は、ウルティマシリーズ本編に登場する「ソーサリア」世界であり、悪の魔術師モンデインが封印していた「不死の宝珠」が粉々に砕けたことにより、多数の並行世界(シャード)が存在するという設定が作られました。各シャードは独立した世界となっており、異なる文化や治安状況を持っています。プレイヤーはこの広大な世界を自由に冒険し、交易、建築、戦闘、生活を楽しむことができるのです。

ウルティマオンライン
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本作のゲームシステムには、プレイヤー同士の対人戦(PvP)も組み込まれています。特に「フェルッカ」と呼ばれるエリアではプレイヤー同士の戦闘が自由に行え、緊張感ある冒険が楽しめる一方、比較的安全な「トランメル」エリアでは平和な暮らしに専念することも可能です。フェルッカでは、スキルの上限値を上げることができるパワースクロールやステータススクロールが手に入るため、リスクを冒して冒険に挑む価値も十分にあります。

また、生産システムの豊富さもウルティマ・オンラインの魅力の一つです。鍛冶、裁縫、大工、料理、釣り、錬金術など、多岐にわたる生産活動を通じて、装備品や生活必需品を自作することが可能です。高いスキルを持つ生産者は、「高品質(HQ)」アイテムを作成することができ、さらに自身の名前を製品に刻むこともできます。このように、戦闘以外にも多くのロールプレイ要素が用意されており、プレイヤーのプレイスタイルを制限しません。

インターフェースにも独特の工夫が施されています。ウルティマ・オンラインでは、各種ウィンドウやステータスバーを自由に配置できるため、プレイヤーそれぞれが自分好みの画面レイアウトを作り上げることができます。この自由度の高さは、のちの多くのオンラインゲームに影響を与えたと言われています。

ウルティマオンライン
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さらに、家を建てられるシステムも本作ならではです。プレイヤーはフィールド上の空き地に住宅を建築でき、内装を自由にカスタマイズすることが可能です。家具を置き、装飾を施し、オリジナルの住空間を作り上げる楽しみは計り知れません。また、家は単なる飾りではなく、戦利品や資源を安全に保管する実用的な拠点でもあります。

長い歴史の中で、ウルティマ・オンラインは数々の拡張パックや大型アップデートを経てきました。「セカンドエイジ(T2A)」、「ルネッサンス(UOR)」、「第三の夜明け(TD)」、「ブラックソーンの復讐(LBR)」、「正邪の大陸(AoS)」、「武刀の天地(UOSE)」、「宝珠の守人(UOML)」、「ステイジアン・アビス(UOSA)」など、それぞれが新たな世界、種族、スキル、システムを追加し、常に進化を続けています。特にAoSで導入されたアーティファクト装備やマジックアイテム制度は、以後のMMORPGに大きな影響を与えました。

現在でもウルティマ・オンラインはプレイ可能であり、往年のプレイヤーにとっては懐かしさと新鮮さを兼ね備えた唯一無二の体験が味わえます。2Dクライアントや最新のSAクライアントを使い、自分だけの冒険を続けることができるのです。

関連作品

ロード・オブ・ウルティマ

ロード・オブ・ウルティマ
© 2010 エレクトロニック・アーツ All Rights Reserved.

2010年4月21日に正式サービスが開始された『ロード・オブ・ウルティマ(Lord of Ultima)』は、これまでのウルティマシリーズとは一線を画した作品です。本作はRPGではなく、ブラウザ上で動作するオンラインストラテジーゲームとして登場しました。基本プレイは無料で提供されていましたが、プレイを有利に進めるための課金アイテムも用意されていました。ゲームの対応言語は英語とドイツ語のみであり、従来の「ブリタニア」を舞台とする世界観との繋がりは薄く、建造物の名前に「Trinsic Temple」や「Moonglow Tower」といった過去作を想起させるものが使われていた程度でした。

開発を担当したのは、Electronic Arts傘下のEA Phenomicスタジオで、当時のブラウザゲームとしては珍しくAdobe Flashを用いず、純粋なJavaScript技術を活用して構築されていた点が特徴です。『Lord of Ultima』のゲームプレイは、都市を発展させ、資源を収集し、軍隊を編成して他プレイヤーと覇権を競うリアルタイムストラテジーの形式をとっていました。最初に得られる都市は七日間攻撃を受けない保護期間が設けられており、その間に新たな都市の建設や、廃墟となった都市の再建が可能になります。また「城」を建設することで、他プレイヤーの都市を侵略・征服できるようになりますが、序盤から無計画に城を建てると他プレイヤーに狙われやすくなり、早期にゲームから脱落する危険性も孕んでいました。

ロード・オブ・ウルティマ
© 2010 エレクトロニック・アーツ All Rights Reserved.

ゲームの最終目標は、「Lord of Ultima」という称号を得ることにありました。これにはアライアンス(ギルド)の協力が不可欠で、ゲーム内に存在する八つの信仰のそれぞれに対応した「レベル10のアライアンスパレス」を完成・保持する必要がありました。プレイヤーの間では、都市設計ツールなどのサードパーティ製アプリケーションが広く利用されており、これを駆使することで資源の収入効率を最適化し、ランキング上位を狙う戦略が主流となっていました。

ゲームの評価は概ね良好でしたが、シリーズ本来の「ウルティマらしさ」が希薄であることや、ゲーム進行のペースが非常に遅いことなどが批判されるポイントとなりました。『PC Gamer UK』は75%、『Game Vortex』は82%と比較的高い評価を与えましたが、『MMOHut』は「オリジナルな戦略性を持つ一方で、ウルティマシリーズとの関連が薄い」と指摘しました。最終的に『Lord of Ultima』は2014年5月12日にすべてのサーバーが停止され、正式にサービス終了となりました。ファンたちはその後、同様のゲーム体験を再現しようとKickstarterで「Crown of the Gods」というプロジェクトを立ち上げ、わずか17分で目標額を達成しました。

ウルティマ・フォーエバー クエスト・フォー・ザ・アバター

ウルティマ・フォーエバー クエスト・フォー・ザ・アバター
© 2013 エレクトロニック・アーツ All Rights Reserved.

『ウルティマ・フォーエバー クエスト・フォー・ザ・アバター(Ultima Forever: Quest for the Avatar)』は、2013年8月9日にiOS向けにリリースされたオンラインアクションRPGです。本作はウルティマシリーズの中でも異色の位置付けとなっており、舞台は『ウルティマIV』から21年後のブリタニアでした。プレイヤーは、王女レディー・ブリティッシュに召喚された英雄の一人となり、世界を蝕む「黒涙病」という謎の疫病から人々を救うために、徳の探求に挑みます。

本作の特徴は、『ウルティマIV』の持つ倫理的・道徳的な選択の概念を、次世代向けにアップデートしている点にあります。ただし、従来のシリーズに登場していた「ロード・ブリティッシュ」ではなく、「レディー・ブリティッシュ」という女性のリーダーが登場するのは、リチャード・ギャリオットが商標権を保有していたための措置でした。ゲームはトップダウン型の見下ろし視点で進行し、背景は手描き風、キャラクターは3Dで表現されていました。

ウルティマ・フォーエバー クエスト・フォー・ザ・アバター
© 2013 エレクトロニック・アーツ All Rights Reserved.

開発はMythic EntertainmentとEscalation Studiosが共同で担当し、Electronic Artsがパブリッシャーとなりました。開発初期の段階から情報は断片的に漏洩しており、2011年には公式Twitterアカウントの存在が発見されています。2012年のサンディエゴ・コミコンで正式発表され、以降、βテストを経て正式リリースに至りました。

しかし、リリース後の評価は厳しいものでした。課金システムへの依存度が高すぎることが、多くのプレイヤーから批判を浴びたのです。『Forbes』誌は10点中6点、『Touch Arcade』は5点満点中3点と、いずれも中庸な評価にとどまりました。一方、『Eurogamer』は10点満点中2点という辛辣なスコアを付け、「まるで馬鹿のために作られたゲームだ」と手厳しく批判しました。サービスは短命に終わり、2014年8月30日に終了しました。

開発中止作品

ウルティマ・ワールズ オンライン・オリジン

ウルティマ・ワールズ オンライン・オリジン
© 2001 エレクトロニック・アーツ All Rights Reserved.

『ウルティマ・ワールズ オンライン・オリジン(Ultima Worlds Online: Origin)』は、かつて『ウルティマ・オンライン2(Ultima Online 2)』として発表された、シリーズの新たな挑戦となるはずだった作品です。『ウルティマオンライン』の成功を受けて、より高度な3Dグラフィックと新たなゲームシステムを導入する計画で開発が進められていました。舞台は、過去・現在・未来が交錯することによって一つに融合した新たなソーサリアであり、中世ファンタジーの世界観に産業革命期のスチームパンク要素を加える斬新な試みがなされていました。

プレイヤーは「ミーア人」(古代の魔法種族)、「ジュカ人」(未来の機械文明人)、そして「人間」から種族を選び、それぞれ特有のスキルやアイテムを駆使して冒険する予定でした。PvP(プレイヤー間戦闘)はデフォルトで無効化されており、専用エリアのみで可能とするなど、『ウルティマオンライン』で問題となったプレイヤー間トラブルへの配慮が見られました。また、20~30人規模の大規模なパーティープレイを推奨し、単独プレイで全スキルを極める「タンクメイジ問題」を抑制する設計も導入される予定でした。

ウルティマ・ワールズ オンライン・オリジン
© 2001 エレクトロニック・アーツ All Rights Reserved.

しかし、Electronic Artsは『ウルティマオンライン』が依然として収益を上げ続けていることを理由に、2001年3月21日に『Ultima Worlds Online: Origin』の開発中止を発表しました。開発チームの一部はリチャード・ギャリオットと共に新会社Destination Gamesに移籍し、『タビュラ・ラサ』の開発に携わることとなります。本作のために制作された音楽は、インダストリアルバンド「Grim Faeries」によるもので、プロモーションビデオ用に提供された楽曲「Love Is Hell」などが特に有名です。

まとめ

まとめ
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ウルティマ・オンラインは、単なる「古いゲーム」ではありません。今日のMMORPGが当然のように取り入れている多くのシステムや概念は、すべてこの作品から始まりました。スキルベースの育成、自由度の高い生活、PvPとPvEのバランス、多彩な生産システム、住宅建築、インターフェースカスタマイズ、そのどれをとっても革新的であり、今なお色褪せることはありません。

また、『Lord of Ultima』や『Ultima Forever: Quest for the Avatar』のような異色作、そして惜しくも日の目を見なかった『Ultima Worlds Online: Origin』は、ウルティマが単なるゲームシリーズに留まらず、時代ごとに新たな試みを続ける進化の過程であったことを示しています。

もし、あなたがオンラインゲームの原点を体験してみたいなら、ウルティマ・オンラインに触れてみることを強くおすすめします。その奥深さと自由度の高さに、きっと驚かされることでしょう。

ウルティマシリーズの一覧

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【ゲーム一覧】から「ウルティマ」の文字が含まれるゲームタイトルを紹介しています。ピコピコ大百科は今まで販売されたテレビゲームソフトのデータベース(ゲームカタログ)です。レトロゲームから最新ゲームまで任天堂、セガ、ソニーなどのゲーム機で発売さ...

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