「はにいシリーズ」は、PCエンジンで展開された個性の強いゲームシリーズです。見た目はコミカルで少し不思議なのに、遊び方には工夫が多く、しっかり歯ごたえもあります。シリーズの中心となるのは、1989年発売の縦スクロールシューティングと、1990年発売の横スクロール系アクションです。続編でありながらジャンルが大きく変わり、同じ主人公でも別の遊び方を提示している点が、このシリーズを特別なものにしています。
シリーズの概要

はにいシリーズは、PCエンジンで展開された個性の強いゲームシリーズです。第1作は縦スクロール型のシューティングゲームとして登場し、攻撃の向きを8方向に切り替えられる仕組みや、敵を倒して得た力で装備を購入・変更できるシステムなど、当時としては珍しい要素が取り入れられていました。単なる反射神経だけでなく、状況を見て判断する遊び方が求められる点が特徴です。続編ではジャンルが大きく変わり、横スクロール型のアクションゲームになりました。画面を右に進みながら、4本のラインを切り替えて移動する構造が採用され、位置取りやタイミングが重要なゲーム性となっています。見た目はコミカルで親しみやすい一方、内容はしっかりと作り込まれており、覚えや工夫が必要な場面も多くあります。ジャンルが異なっても独特な仕組みを中心に据えている点が共通しており、遊び込むほど味わいが増すシリーズとして知られています。
シリーズの魅力
独特なゲームシステムによる強い個性

はにいシリーズ全体の大きな魅力としてまず挙げられるのは、他のゲームにはあまり見られない独特なシステムです。第1作では、縦スクロールのシューティングでありながら、攻撃の向きを8方向に切り替えられる仕組みや、敵を倒して得た力を使ってその場で装備を買い替えるという遊び方が取り入れられています。単に敵を撃ち続けるだけでは先に進めず、どの方向に攻撃するか、どの装備を選ぶかを考える必要がありました。続編ではジャンルがアクションゲームに変わりますが、4本のラインを切り替えながら進むという特徴的な構造が採用され、横スクロールでありながら位置取りの判断が重要になります。どちらの作品も、操作そのものは難しすぎない一方で、仕組みを理解して使いこなすことが求められます。このように、シリーズを通して「少し変わった仕組み」を中心に据えている点が、はにいシリーズならではの強い個性となっています。
見た目と内容のギャップが生む印象深さ

はにいシリーズは、見た目の雰囲気と実際のゲーム内容の間にあるギャップも魅力のひとつです。主人公はハニワを思わせる姿で、全体のデザインもどこかコミカルで、不思議さやかわいらしさが前面に出ています。そのため、一見すると軽い気持ちで遊べそうな印象を受けます。しかし実際に進めてみると、敵の配置やステージ構成はしっかり作り込まれており、油断すると厳しい展開になることも多くあります。第1作では敵の出現位置を覚えなければ苦しくなり、第2作では足場やラインの選択を間違えると一気に不利になります。この「見た目はゆるいのに中身は手強い」という差が、プレイした人の記憶に残りやすくしています。かわいさだけでも、難しさだけでも終わらない点が、はにいシリーズを印象深いものにしています。
遊び込むほど味が出る構成

はにいシリーズは、何度も遊ぶことで面白さが増していく作りになっている点も大きな魅力です。最初は戸惑うことが多く、仕組みをうまく使えないまま進んでしまうこともあります。しかし繰り返しプレイするうちに、敵の動きやステージの流れが分かり、自然と有利な立ち回りができるようになります。第1作ではショット方向の切り替えや装備の選び方が身につき、第2作ではライン移動やスクロール速度の違いを利用できるようになります。このように、経験がそのまま攻略力につながるため、少しずつ上達している実感を得やすい構成です。また、ルート分岐やステージごとの特徴がはっきりしているため、同じゲームでも違った展開を楽しめます。短時間で終わる遊びではなく、時間をかけて向き合うことで本当の面白さが見えてくる点が、シリーズ全体の魅力と言えるでしょう。
シリーズの一覧
はにい いんざ すかい


最初の作品は、フェイスから1989年3月1日に発売されたPCエンジン用の縦スクロール型シューティングゲームです。開発は三金堂が担当しています。画面は上方向へ進んでいくタイプで、敵の弾を避けつつ攻撃して突破していきますが、この作品が普通のシューティングと違うのは、遊びの中心に「向き」と「買い物」という2つの仕組みがはっきり置かれているところです。
まず大きな特徴が「ショット方向の変化」です。IIボタンを押すことで、攻撃の向きを前後左右に加えて斜めも含む8方向へ切り替えられます。しかも変更は右回りで進むため、単に“好きな方向を選ぶ”というより、状況に合わせてテンポよく切り替えていく感覚になります。縦スクロールのゲームでは前方に撃つだけで済む場面が多いと思われがちですが、この作品では背後や斜め方向からの敵に対応する場面が多く、方向転換そのものが攻略の重要な要素になっています。
もう1つの柱が「買い物」です。敵を倒すと「れいりょく」を得られ、その蓄えを使ってパワーアップ用のアイテムを購入できます。入手したアイテムは装備を自由に切り替えられるため、いま必要な性能に合わせて組み替えていくことができます。さらに面白いのは、アイテム購入だけでなく、すでに訪れたステージへワープできる仕組みまで用意されている点です。こちらは無料で使え、ボス戦以外ならいつでも操作できます。シューティングで“その場で買い物”という発想自体が珍しいのに、移動の自由度まで持たせているのが独特です。
一方でゲームバランスはかなり「覚え」が強いタイプだとされています。敵を取り逃すと後が苦しくなる場面が多く、そうならないためには敵の出現位置を覚え、適切なタイミングでショット方向を切り替える必要が出てきます。反射神経だけで押し切るというより、ステージの流れを理解して対策を組み立てる遊び方に寄っています。さらに、前進・後退でスクロール速度を調整できたり、ルート選択があるように見えて正解は一本道だったり、隠し要素として「みことのり」が用意されていたりと、シューティングとしては珍しい要素が重なっています。見た目の不思議さだけではなく、仕組みそのものが一風変わっているゲームです。

アイテムまわりも整理されていて、消耗品として扱われるものと、手に入れれば基本的に失わないものが分かれています。「いのちのみず」「まがたま」「みえずのあわ」は消耗型で、それ以外は一度獲得すれば無くならない扱いです。この区別は、買い物システムと相性が良く、長く使う装備を整えつつ、必要な場面で消耗品を使うという形になります。
攻撃に関わる要素としては、「ほのお」と「つるぎ」があります。「ほのお」は、はにいを飛ばしている炎で、銅→銀→金→光の順に移動速度が速くなります。初期装備は「どうのほのお」です。もう一つの「つるぎ」は、いわゆるショットにあたるもので、敵弾を消す効果を持つものも含まれます。初期装備の「どうのつるぎ」は前方一方向で威力は最弱です。そこから、前後2方向の「いくのたち」、攻撃力を上げた「あまのたち」、前方3WAYの「やさかのたち」、射程は短いものの攻撃判定が出続ける「さじふつのつるぎ」、威力を増した「くぶつちのつるぎ」、前方3WAY+後方1WAYの「かむどのつるぎ」、前方5WAYで広めの弾消し効果がある「くさなぎのつるぎ」へと、性格の違う装備が並びます。弾消し効果の有無や範囲が違うため、単純に“強いほど正解”ではなく、場面に応じた使い分けが意識されている構成です。
防御面では「よろい」があり、初期装備は「みえずのよろい」です。さらに「さかきのよろい」はダメージを半分に抑え、「やたのよろい」はダメージを4分の1まで減らしてくれます。装備変更が自由という仕組みと合わさることで、攻撃だけでなく守りの方向性も選びやすくなっています。また「れんしゃ」はオート連射機能で、連射パッドよりは遅いもののON/OFFが可能です。
消耗品のうち「いのちのみず」は体力回復で、1個につき1目盛り回復し、最大7個まで持てます。「みえずのあわ」は一定時間の無敵で、ON/OFFができ、ステージをまたぐと使用時間がリセットされます。「まがたま」もON/OFF可能で、画面内の敵を自動攻撃して一定量のダメージを与えると消滅し、こちらも持ち越し時に時間がリセットされ、最大7個までストックできます。さらに非売品として「やみのくすり(画面がモノクロになる)」「きこえずのすず(そのステージのみBGMが消える)」「ひかりのくさ(7面の敵の一部が弱体化する)」「もどりのつぼ(1面に戻される)」も用意されています。能力強化だけではなく、演出や状況変化に関わるアイテムが混ざっている点も、この作品らしいクセの強さです。

物語設定は、日本がイザナギとイザナミによって作られ、平和が続いていたところから始まります。ところが暗雲と雷鳴とともに封印されていた邪悪な神々が復活し、イザナギははにわ軍を率いて戦います。しかし戦いは長引き、多くの命が失われる事態になります。そこで話し合いが行われ、邪悪な神々は地底へ戻り、イザナギ側も天界へ戻るという条件で合意し、両者は地上から身を引きます。ところが天界へ戻ったイザナミが豹変し、天災を起こして人命を奪うようになります。イザナギは鏡に映るイザナミの姿が邪鬼になっていることを知り、ハニーに対して「イザナミの心の中に入り、邪悪なものを退治する」任務を命じます。神話的な名前が並びつつも、舞台が“心の中への侵入”として描かれるため、シューティングのステージ進行と結びつけやすい筋立てになっています。
ステージは1から8まで用意され、ステージ名とボスが設定されています。最初は「がかい」でボスが「おもいかね」、続いて「ぜんいのあな」の「おおなむじ」、「ぜんむかい」の「たじからお」、「こうむかい」の「うずめ」、「むのあな」の「すさのお」、「しゅうむかい」の「つくよみ」、「えすのあな」の「あまてらす」、最後が「すかい」の「ひるこ」という並びです。神話に由来する名前がステージとボスに散りばめられ、世界観の色を濃くしています。
評価としては、ファミ通のクロスレビューで合計30点(40点満点)となり、シルバー殿堂を獲得しています。ほかにも『マル勝PCエンジン』で25点(40点満点)、『PC Engine FAN』の読者投票による「ゲーム通信簿」では21.98点(30点満点)という結果が示され、1993年時点でPCエンジン全ソフトの中で163位(485本中)という位置づけでした。紹介文では、自機がハニワである奇妙さ、全方向攻撃が可能な点、霊力と交換してパワーアップする仕組みなどが触れられています。変わった見た目だけでなく、仕組みのオリジナリティが注目されていたことが読み取れます。
はにい おんざ ろおど


2作目は、フェイスから1990年9月7日に発売されたPCエンジン用ソフトで、前作の続編とされています。ただし内容は大きく変わり、今度は歩きながら進めていくアクションゲームになりました。画面は右方向へスクロールし、プレイヤーはハニワの「はにい」を操作して上下左右に移動しながら先へ進みます。シューティングからアクションへの転換はかなり大胆で、同じシリーズでも別作品のような新鮮さがあります。
プレイヤーキャラクターは、前作の主人公でもある「はにい」に加え、2Pキャラクターとして初登場する「れもん」がいます。2人同時プレイが可能で、協力しながら進められるのも特徴です。また、続編とされつつも、物語の時系列としては『はにい いんざ すかい』より前の出来事にあたると説明されています。発売順と物語の順番が一致しない点も、シリーズの変則的な魅力のひとつです。
基本の流れは、敵を倒しながらステージを進み、エリアの最後まで到達すればクリアというものです。ステージは全30種類用意されており、途中でルート分岐があります。ただし1回のプレイで進むのは19ステージで、分岐によって通る道が変化します。全部を一度に見せるのではなく、周回や再挑戦で別ルートを体験できる作りになっています。

操作は、Iボタンでジャンプ、IIボタンでキックです。わかりやすい構成ですが、ステージ構造が特徴的で、4列のラインで構成されています。自機はライン移動を使うことで敵や落とし穴を避けられます。つまり、同じ横スクロールでも“上下に自由に動く”というより、“4本の道を切り替える”感覚が強く、危険を避ける方法がはっきりしています。このライン制は、敵の配置や落とし穴の置き方と相性がよく、判断のスピードと正確さが問われる場面を作りやすい仕組みです。
さらに、一部には強制スクロールのステージがあり、その場合は各ラインのスクロール速度が別々になります。手前のラインほど速く流れるタイプが多く、遠近感のような見え方を作っています。単に背景が動くだけではなく、ラインごとに“進み方”が変わるので、同じ画面でも選ぶラインで危険度や取りやすいアイテムが変わることになります。このギミックは作品の個性として大きく、慣れてくるとステージのパターンを覚えて、取りにくい場所のアイテムをうまく回収できるようになる面白さにつながります。
ステージには時々アイテムが落ちていて、定番の1UPにあたる「ハニー」や、25個集めると残機が増える「青つぼ」などがあります。ほかにも攻撃用・移動用のアイテムが多数あり、役に立つものもあれば場面次第で扱いが難しいものもある、いわゆる“一長一短”の構成です。アイテムを取ったときのグラフィックがかわいいとされており、見た目の楽しさが仕組みの多さと並行して用意されています。

難しさの面では、親切な点と厳しい点が同居しています。厄介な攻撃をしてくる敵が出るステージや、倒しづらい敵がいるステージでは、開始前に警告文が出ることがあります。何が危険かを事前に知らせる仕組みがあるのは安心材料です。しかしゲームバランス自体はシビアとされ、油断すると押し切られる場面も多いようです。見た目のコミカルさに反して、攻略は甘くないというギャップがこの作品の味になっています。
ステージごとの個性がはっきりしている点も評価されています。たとえば、突然足場が沈むステージ、車に変身して進む高速ステージ、足場がどんどん崩れていくステージなど、仕掛けの方向性がはっきり違います。これにより、同じ操作を続けるだけの単調さが生まれにくく、次は何が来るのかという期待と緊張が続きます。
コンティニューは回数無制限ですが、再開地点は「最後に倒した中ボスの次のエリア」になります。すぐ同じ場所から再開できるわけではないため、クリアした場面を安定して再現できるかが重要になります。また、最後の1機が穴に落ちた場合は、そのまま終わるのではなく「地獄エリア」に落とされます。ここを突破できればゲームオーバーにならず、前のエリアから復活できる仕組みです。失敗の形によって救済ルートが用意されている点はユニークで、厳しさの中に“もう一度やらせる仕掛け”が混ざっています。
見た目については、全体的にコミカルで、どこかおかしみがあると評されています。武器や乗り物などのアイテムを取ったときの姿がかわいい点も印象として挙げられています。その一方で、遊び込むとラインごとの速度差やステージパターンの理解が効いてきて、じわじわ面白くなるタイプとも言えます。最初はとっつきやすく見えて、進めるほど攻略の工夫が必要になる作品です。
まとめ

はにいシリーズは、見た目の不思議さと中身の濃さが同時に楽しめる、個性のはっきりしたゲームシリーズです。第1作では縦スクロールシューティングとして、攻撃方向の切り替えや装備を買い替える仕組みなど、当時としては珍しい要素が取り入れられ、考えながら進める遊び方が求められました。続編では横スクロールのアクションゲームへと大きく方向転換し、ライン移動やスクロール速度の違いを活かしたステージ構成によって、別の形の緊張感と攻略性が生まれています。ジャンルは異なっていても、どちらの作品にも「仕組みを理解して使いこなす面白さ」が共通しており、反射神経だけに頼らない点がシリーズの特徴です。また、コミカルで親しみやすい見た目と、決して簡単ではないゲーム内容とのギャップも印象に残ります。繰り返し遊ぶことで理解が深まり、少しずつ上達を実感できる構成は、短時間の遊びでは味わえない魅力を持っています。はにいシリーズは、独自性と遊びごたえを両立させた、記憶に残るPCエンジン作品と言えるでしょう。
はにいシリーズの一覧





















