【悪代官シリーズ】罠と用心棒で“正義”を迎え撃つ痛快時代劇ゲーム

ゲームシリーズ
© 2002 グローバル・A・エンタテインメント All Rights Reserved.

『悪代官』シリーズは、悪役である代官を主役に据え、正義の味方を罠や用心棒で迎え撃つ異色の時代劇ゲームです。荒唐無稽なストーリー展開と多彩な罠、実写とCGを融合させた演出、さらに派生作まで幅広く展開され、唯一無二の魅力を放ちます。

シリーズの概要

シリーズの概要
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『悪代官』シリーズは、2002年にPlayStation 2向けに登場した異色の時代劇ゲームで、従来の勧善懲悪の構図を逆転させ、悪役である代官を主人公に据えた点が最大の特徴です。プレイヤーは悪徳商人からの賄賂を資金源に罠を設置し、用心棒を雇って遠山の金さんや水戸黄門といった正義の味方を返り討ちにします。罠の種類は落とし穴や火炎放射器からビーム砲、宇宙戦艦の援護射撃まで多彩で、時代劇らしからぬ要素を積極的に取り入れています。ストーリーは荒唐無稽さに満ち、エジプト探訪や地獄での戦闘、巨大ロボットとの対決など、常識を超えた展開が続きます。実写ムービーや挿絵を交えた演出も特徴的で、低予算ながらもユーモアあふれる仕掛けが随所に盛り込まれています。シリーズを重ねるごとにシステムは進化し、リアルタイム設置型へと変化した『3』や、双六形式のスピンオフ『漫遊記』など多彩な展開を見せました。悪を操る快感と笑いに満ちた独自の世界観が、多くのプレイヤーを魅了したシリーズです。

シリーズの魅力

逆転の発想が生み出す「悪役主役」の面白さ

逆転の発想が生み出す「悪役主役」の面白さ
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時代劇の定番では必ずやられる側に回る悪代官を主人公とし、遠山の金さんや水戸黄門といった正義の味方を敵として迎え撃つ構図こそ、このシリーズ最大の特徴です。従来の勧善懲悪の枠組みを逆転させることで、プレイヤーは悪の側に立つ新鮮な体験を得られます。悪徳商人からの賄賂を資金源にし、罠を仕掛け、用心棒を雇って戦略的に正義を返り討ちにする展開は、単なる悪ふざけではなくシステム的に練られています。プレイヤーは「いかに正義を罠にはめて屈服させるか」という倒錯的な楽しさを体感し、従来のゲームとは異なる満足感を得られるのです。

多彩すぎる罠と用心棒による戦略性

多彩すぎる罠と用心棒による戦略性
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シリーズを支えるのは、バリエーション豊かな罠と用心棒です。燭台や落とし穴、大砲や火炎放射器といった現実的なものから、ビーム砲や宇宙戦艦の援護射撃まで、時代劇の枠を軽やかに飛び越えるアイデアが並びます。罠は単独ではなく連鎖させることで真価を発揮し、組み合わせ次第で大ダメージや精神力削り、さらには「屈辱」を与える特殊効果を狙うことができます。用心棒も剣豪や忍者、力士に至るまで多様で、戦力というより精神力削りや時間稼ぎの役割が重要です。倒れた用心棒から回収できる金銭も戦略に組み込まれ、経済的運用が攻略の鍵となります。シリーズが進むごとに耐性や屈辱系の仕組みが追加され、読み合いの奥深さが増していきました。

荒唐無稽なストーリー展開と徹底したパロディ精神

荒唐無稽なストーリー展開と徹底したパロディ精神
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『悪代官』は単なる罠ゲームではなく、ストーリー面でも強烈なインパクトを残しています。エジプトへ財宝探しに行く展開や、イースター島でモアイと戦い、クイズ番組風のイベントに挑戦し、果ては地獄で閻魔大王を相手にしたり、巨大ロボットや宇宙戦艦との戦いに発展するなど、荒唐無稽さはシリーズを重ねるごとに加速しました。時代考証を意図的に無視し、カラーテレビや携帯電話が登場したり、「セキュリティ」「サクセスストーリー」といった現代用語が飛び交う演出は、真剣な時代劇を期待するほど裏切られ、逆に笑いを誘います。メタ的な台詞やプレイヤーへの突っ込みまで盛り込まれており、遊んでいる最中に「これはもう時代劇なのか?」とツッコミたくなる独特のユーモアが魅力です。

実写ムービーとCGの融合による独特の演出

実写ムービーとCGの融合による独特の演出
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ゲームプレイの合間に挿入される実写ムービーは、千本松喜兵衛による貫禄たっぷりの悪代官役が中心です。低予算ながら“毎度同じ部屋で密会する”という制約を逆手に取り、悪代官自身が「なぜいつもこの部屋なのだ」と突っ込むことで笑いに変えています。『3』では江戸の町でのロケも行われ、従来の「一部屋演出」からスケールアップしました。さらに挿絵やナレーションも遊び心に満ちており、ゲームオーバーでさえ“語り”がユーモラスに展開されます。実写とCG、そしてアニメ調の挿絵という複数の媒体を巧みに融合させることで、他にない個性を放つ作品群になっています。

シリーズごとに進化したシステムと多様な派生作品

シリーズごとに進化したシステムと多様な派生作品
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初代と『2』は準備と迎撃の二部構成、『3』ではリアルタイム設置と発動への進化と、シリーズを重ねるごとにシステムが刷新されました。マルチシナリオやマルチエンディングを採用した『3』は特に人気が高く、国家転覆から家庭内の揉め事、さらには悪代官の改心に至るまで多彩な物語が用意されています。一方、PSPではスピンオフとしてモノポリー風の『悪代官漫遊記』が登場し、悪代官の息子たちが悪名を競い合う双六ゲームに仕立てられました。続編の『正義の刃』では視点を正義側に切り替え、ボードゲームとしての遊びやすさを追求しています。罠アクションから双六ボードゲームまで、同じシリーズながら多様な形で楽しめる幅の広さが、長く愛される理由のひとつです。

シリーズの一覧

悪代官

悪代官
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悪代官|プレイステーション2 (PS2)|グローバル・A・エンタテインメント|レトロゲームから最新ゲームまで検索できるゲームカタログのピコピコ大百科
グローバル・A・エンタテインメントより2002年8月8日にプレイステーション2用ソフトとして発売された時代劇シミュレーションゲーム。「時代劇での悪代官が正義の味方を倒せるとしたら」という思いを実現した作品。悪代官となり、悪徳商人からの賄賂…
悪代官(グローバル・ザ・ベスト)|プレイステーション2 (PS2)|グローバル・A・エンタテインメント|レトロゲームから最新ゲームまで検索できるゲームカタログのピコピコ大百科
グローバル・A・エンタテインメントより2003年7月31日にプレイステーション2用ソフトとして発売された時代劇シミュレーションゲーム。「時代劇での悪代官が正義の味方を倒せるとしたら」という思いを実現した作品。悪代官となり、悪徳商人からの賄…

2002年8月8日にPlayStatio2向けソフトとして発売された、シリーズの第1作目です。俯瞰視点のフィールドで、各ステージ開始前の制限時間内に罠を設置する方式です。ステージ構成は回ごとに変化し、全15ステージで構成されます。物語は、冒頭こそ悪代官と悪徳商人の“山吹色のお菓子”をめぐる悪巧みから始まりますが、中盤でエジプトの財宝探しに向かうなど、時代劇の枠を軽やかに飛び越える展開へ。最終局面でも大きな転調があり、実写ムービーとCGパートを横断した“分かっていてやる”パロディ精神が貫かれています。

悪代官
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基本システムはしっかり作られており、罠の組み合わせで連鎖を生み、同じ種類の罠を連打しても効果が伸びないルールの中で、いかに資金を節約して効率よく仕留めるかが腕の見せ所です。準備パートでは正義の味方の侵入位置や悪代官の初期位置が分かりづらい、設置ミスの修正ができない、説明不足で連鎖仕様が理解しづらいといった不親切さも残ります。グラフィックは低予算ゆえに粗さが目立ちますが、罠やミニゲームのアイデア、BGMの時代劇調など内容の濃さで押し切る一本です。

悪代官2 妄想伝

悪代官2 妄想伝
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悪代官2 妄想伝|プレイステーション2 (PS2)|グローバル・A・エンタテインメント|レトロゲームから最新ゲームまで検索できるゲームカタログのピコピコ大百科
グローバル・A・エンタテインメントより2003年7月31日にプレイステーション2用ソフトとして発売されたシミュレーションゲーム。悪代官が正義の味方を倒すという異色作の続編。80種類以上のアイテムが新たに登場し、これらのアイテムを装備するこ…
悪代官2 妄想伝(グローバル・ザ・ベスト)|プレイステーション2 (PS2)|グローバル・A・エンタテインメント|レトロゲームから最新ゲームまで検索できるゲームカタログのピコピコ大百科
グローバル・A・エンタテインメントより2004年7月8日にプレイステーション2用ソフトとして発売されたシミュレーションゲーム。悪代官が正義の味方を倒すという異色作の続編。80種類以上のアイテムが新たに登場し、これらのアイテムを装備すること…

2003年7月31日にPlayStation Portable向けソフトとして発売された作品で、前作から40年後という設定で、基本的な遊びは継承しつつ、CGクオリティの向上や口パク対応など表現面が強化されています。ステージ数はやや少なめですが、三段階の難易度を選べ、難度別に敵の強さや入手アイテムが変わります。物語面は前作以上に奔放で、倒幕の最終目標が早い段階で提示される一方、潜水艦で竜宮城に突入したり、イースター島でモアイと戦ったり、クイズ番組風の演出が差し込まれたり、地獄で閻魔大王に挑んだり、巨大ロボットや宇宙戦艦が絡む総力戦に発展したりと、破天荒さは加速しています。

悪代官2 妄想伝
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ゲームとしては、準備パートで罠と用心棒を仕込み、迎撃パートで逃げつつ罠に誘導する構図は変わらず、火炎の継続ダメージや罠の連携、悪代官自身がトドメを刺すと特別報酬が得られる要素など、前作の“分かる人はニヤリ”と“遊びの芯”が同居しています。一方で、罠や用心棒の設置取り消しができない、連鎖仕様の説明が薄い、足の遅さがストレスになりやすいなどの難も引き継いでいます。総じて“バカに徹しつつ、遊べる”というシリーズ像を強く印象づけた続編です。

悪代官3

悪代官3
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悪代官3|プレイステーション2 (PS2)|グローバル・A・エンタテインメント|レトロゲームから最新ゲームまで検索できるゲームカタログのピコピコ大百科
グローバル・A・エンタテインメントより2007年3月1日にプレイステーション2用ソフトとして発売されたシミュレーションゲーム。強きを助け、弱きをくじく、『悪代官』の続編。用心棒たちや卑劣な罠は今回も健在。罠誤作動で悪代官自身が罠にかかって…
悪代官3(グローバル・ザ・ベスト)|プレイステーション2 (PS2)|グローバル・A・エンタテインメント|レトロゲームから最新ゲームまで検索できるゲームカタログのピコピコ大百科
グローバル・A・エンタテインメントより2009年2月26日にプレイステーション2用ソフトとして発売されたシミュレーションゲーム。強きを助け、弱きをくじく、『悪代官』の続編。用心棒達や卑劣な罠は健在。罠誤作動で悪代官自身が罠にかかってしまう…

2007年3月1日にPlayStation2向けソフトとして発売された作品で、シリーズ随一の人気作とされ、カメラは完全3D化、グラフィックも大幅に向上しました。舞台はすべて悪代官の屋敷内に統一され、罠の設置・発動はいつでもどこでも可能なリアルタイム制へ。準備フェイズがなくなり、ステージ開始直後から正義の味方が侵入してくるため、状況に応じた罠の選択と配置、発動のタイミング、用心棒の呼び出し(1部屋に最大5人、資金がある限り何度でも)といった現場判断が勝敗を分けます。罠強化やステージ内の隠しアイテムは廃止され、代わりに“屈辱系”罠や、正義の味方ごとの“耐性”による無条件回避・瞬間移動といった新要素がもたらす読み合いが特徴です。

悪代官3
© 2007 グローバル・A・エンタテインメント All Rights Reserved.

マルチシナリオ&マルチエンディングを採用し、密談での選択肢次第で物語が大きく分岐、登場する正義の味方も変わります。国家転覆、親子や夫婦のドラマ、裏切り、ファンタジー要素、悪代官が改心する結末や楽屋オチまで、用意された物語の幅は広く、パロディ色にも磨きがかかっています。実写パートは従来の“いつもの部屋”に加えて江戸の町まで登場し、日光江戸村でロケが行われました。実写出演としては福本清三が“用心棒の先生”役、ゲームオーバー時の語りに居島一平、挿絵にはほりのぶゆきが参加するなど、シリーズの“分かっている”演出力を底上げしています。

スピンオフ作品

悪代官漫遊記

悪代官漫遊記
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駿河屋 -悪代官漫遊記(プレイステーション・ポータブル)

2006年11月30日にPlayStation Portable向けソフトとして発売されたスピンオフで、従来のトラップアクションから一転、モノポリー風の双六ボードゲームに仕立て直した作品です。悪事を重ねた代官が息子たちに家督を譲るべく、諸国で“悪名”を競わせるという筋立てで、プレイヤーは“悪代官チルドレン”を操作します。スタート地点の「奉行所」から周回し、城を巡って給金を得たり、縄張りマスを買い占めて他プレイヤーから通行料と悪名を得たり、関所で貯まった通行料を総取りしたりと、資産管理と悪名の伸ばし方が勝敗を左右します。村ではアイテム購入ができ、悪徳商人が随伴して様々な効果をもたらします。

悪代官漫遊記
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マスによっては「正義漢」との戦闘が発生し、勝利すれば所持金と悪名が増え、敗北すると悪名が下がったり島流しになったりします。ゲーム終了は破産発生、規定数の正義漢撃破によるボス出現、規定ターン到達のいずれかで、清算では最多撃破や最多給金などの報奨金が加算され、所持金・総資産・悪名換算を合計して順位が決まります。肩ひじ張りがちなすごろくをコミカルにパッケージし、アドホック通信での対戦にも対応する一方、最終ターン数を変えられないためプレイ時間を調整しにくい、トップにボーナスが出やすいランダムイベントで差が開きやすい、競売でAIが強すぎる場面がある、といったバランス面の難も指摘されます。総じて、原作要素を詰め込みつつ運要素を強めにした携帯機向けの一作です。

悪代官漫遊記 正義の刃

悪代官漫遊記 正義の刃
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駿河屋 -悪代官漫遊記 正義の刃(プレイステーション・ポータブル)

2007年2月22日にPlayStation Portable向けソフトとして発売された作品で、『漫遊記』の姉妹編で、今度は正義側の視点で悪党を懲らしめます。発売間隔は短いものの、ルール変更が多く、新作と言ってよい作りです。BGMも流用にとどまらず、アレンジや専用曲で違和感なくまとめています。プレイヤーキャラクターは前作のボス側で、柳生十兵衛や水戸黄門など実名がはっきり登場し、体力・攻撃力・速さ・硬さといったパラメータ差が付きます。相棒は前作の悪徳商人に相当する立ち位置で、入れ替わりのルールも踏襲。

悪代官漫遊記 正義の刃
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マップには同心詰所(スタート/給金受け取り/能力上昇の寄進)、空き地(慈善事業の建設と投資、停止での回復や強化)、交戦マス(ザコ悪党との戦闘)、奉行所(ボス戦の場)があり、悪人大名の城で情報を集めるとボスの差し替えも可能です。体力の自動回復は条件付きになり、準備を整えて自分のタイミングでボスに挑む戦略性が増しています。勝てば報奨金で逆転も狙える一方、最終ターン数などを調整できない点は従来と同様の弱点です。シリーズの“悪側主役”というコンセプトからは外れるものの、ボードゲームとしては理不尽さが薄れ、遊びやすさが増した一本です。

まとめ

まとめ
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『悪代官』シリーズは、悪役を主役に据えて正義を返り討ちにするという逆転の発想を、罠の連鎖と用心棒の運用という明快なゲーム性で支えた作品群です。実写ムービーとCGが織りなす時代劇×パロディの掛け合わせは、あえて時代考証を外すユーモアを前面に出しつつ、遊びの芯では“読み合い”と“段取り”の手応えをしっかり残しています。初期2作の準備→迎撃の二段構えから、『3』のリアルタイム化とマルチシナリオへの進化、さらにはボードゲームへ振り切ったPSPのスピンオフまで、同じ“悪”の看板を掲げながらも各作で違う味を提供してきました。シリーズ外とのキャラクター連動やパチンコ展開、実在の清酒ロゴの許諾使用といった周辺トピックも含め、時代劇という看板をベースに“何でもあり”を楽しむ姿勢が一貫しています。罠の組み合わせで思い通りの連鎖が決まったときの爽快感、そして実写パートの茶目っ気――この二本柱が、今も語り継がれる理由です。

悪代官シリーズの一覧

ゲーム一覧|悪代官|レトロゲームから最新ゲームまで検索できるゲームカタログのピコピコ大百科
【ゲーム一覧】から「悪代官」の文字が含まれるゲームタイトルを紹介しています。ピコピコ大百科は今まで販売されたテレビゲームソフトのデータベース(ゲームカタログ)です。レトロゲームから最新ゲームまで任天堂、セガ、ソニーなどのゲーム機で発売された...
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